記憶に残る体験をしよう ― 不穏な時間の中にも笑顔を取り戻すきっかけ

介護

施設で過ごされている認知症の方の中には、時々不安や混乱から落ち着かなくなる方が
いらっしゃいます。
そんなとき、職員として「どうすれば安心していただけるだろう」と考える場面が多くあります。
ところが、ある日ふと昔の旅行の話をされている姿を見て、私は大切なことに気づきました。
“記憶に残る楽しい体験”は、時間が経っても心を支えてくれるのだということです。


不穏になるのは「今の不安」から

認知症の方が落ち着かなくなる背景には、「ここはどこ?」「家に帰らないと」といった
強い不安があります。
その不安に共感しながらも、少しでも気持ちがやわらぐきっかけを見つけることが大切です。
言葉で説得するよりも、“心を別の方向へ導く関わり”が効果的なことも多いと感じます。
焦らず、その方の世界に寄り添うことが何より大切だと感じます。


「昔の楽しい記憶」が安心を呼び戻す

利用者さんが不穏になって落ち着かなくなると、旅行の話を振ってみます。
すると、その方は身振り手振りを交えながら、楽しそうに旅先での出来事を話してくださいます。
そのエピソードは毎回ほとんど同じなのですが、私はいつも初めて聞くように相づちを打ち、
驚いたり笑ったりしながら耳を傾けます。
するとその方は嬉しそうに微笑み、次第に落ち着いていかれるのです。

過去の思い出を語ることは、その方にとって“安心の居場所”に戻るような時間
なのかもしれません。


体験は心に残り、支えになる

人は誰しも、心に残る体験を通して今を生きています。
旅行や季節の行事、家族との団らん――それらの体験は、時間が経っても心の奥に刻まれています。
介護の現場でも、何気ない日々の中に「心が動く体験」を作ることが、その方の安心や笑顔につながるのだと思います。
今の一瞬が、未来の“記憶に残る体験”になるように、そんな関わりを続けていきたいです。


🌸まとめ

認知症の方の笑顔や安心は、過去の記憶の中にある“楽しい体験”から生まれることがあります。
その記憶を大切にし、初めて聞くように耳を傾けることで、心が穏やかに戻っていく――

不穏になることは、決して「問題行動」ではなく、心が助けを求めているサイン。
その心を支えるのは、かつての温かい記憶や、今ここで生まれる小さな体験です。
介護の仕事を通して、改めて「記憶に残る体験を大切にしたいと感じています。

思い出を作る旅行に出かけてみませんか?

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