私が訪問している利用者Kさんは、毎日庭にホースで水を撒くのを
日課にしています。いつも庭は緑が生き生きしています。
草花への愛情からの行動なのですが、真夏以外でも毎朝欠かさず、
時には1時間近く撒き続けていることも。
また、洗濯も自分でされていて立派なのですが、
二層式洗濯機を使っておられ、水を出しっぱなしのまま放置してしまうことがしばしば。
ご家族が「水道代が2倍近くになっていてびっくりした」と相談されたこともあり、
訪問時には観察や声掛けをしています。
認知症と「生活の繰り返し行動」
認知症の初期〜中期にかけて、同じ行動を繰り返す「反復行動」や
「見当識障害(今がいつか分からない)」がよく見られます。
水を撒くことも、ご本人の中では「今日もやらなきゃ」
という強い目的意識があるのですが、実はすでに何度もやっている場合もあります。
洗濯に関しても、「洗濯が終わっていない気がする」と不安になり、
何度も水を流して確認したり、同じ服を繰り返し洗ったりしてしまうことがあります。
ご家族が気づくポイント
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水道代や電気代が急に上がった
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洗濯回数や水撒きの頻度が極端に増えている
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水の出しっぱなし、ガスの消し忘れなどが増えた
これらはすべて「生活の中の変化」であり、認知症のサインかもしれません。
医療機関への相談や、ケアマネジャー、地域包括支援センターへの連絡をおすすめします。
対応の工夫
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ホースにタイマーや止水機能のあるノズルを取りつける
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洗濯機の使用時は声かけや付き添いを行う
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自動停止機能つきの機器に替える(可能であれば全自動洗濯機に)
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本人の「やりたい気持ち」を尊重しつつ、負担を減らす方法を一緒に探す
まとめ
「水の使いすぎ」はただのうっかりミスではなく、
認知症の初期サインである可能性があります。
大切なのは、責めるのではなく、
「どうすれば安心して暮らせるか」を一緒に考えること。
日常の中のちょっとした変化に気づくことが、
ご本人の安全と尊厳を守る第一歩になるのです。