お盆になると、いつもの訪問先でも、少しだけ会話の内容が変わります。
「息子が帰ってくるんよ」
「昔はお盆になると、みんな帰ってきてね……」
そんな話を聞くことがあります。
掃除や料理をしながら、利用者さんがぽつり、ぽつりと話してくれる言葉。
私は、そんな何気ない「独り言」のような話を聞くのが好きです。
ある利用者さんが、こんなことを言っていました。
「いつまでも息子は、お母さんは元気でいると思っているんよね」
親にとって、子どもはいつまでたっても子ども。
そして子どもにとっても、母親はいつまでも元気でいてくれる存在なのかもしれません。
でも、歳を重ねれば、以前できていたことが少しずつ大変になっていきます。
お盆に息子さんが帰ってくるのは嬉しい。
でも、
「お盆、帰ってくるのはいいけど、前の準備が大変なのにな」
と、こんな本音も。
そして、
「帰ってくるたび、片付いてない!!って言われるんよ」
と笑いながら話されます。
きっと息子さんに悪気はないのでしょう。
昔のお母さんの姿を知っているからこそ、「お母さんなら、これくらいできる」と思ってしまうのかもしれません。
でも、お母さんも歳を重ねています。
家の中をきれいに保つことも、たくさんの料理を作ることも、
若い頃と同じようにはできなくなっている。
そんな親の変化に、子どものほうが気づいていないこともあるのかもしれません。
一方で、こんな言葉もありました。
「孫が小さいうちは帰ってきたけど、今は一切帰ってこんわ」
その言葉を聞いて、少し胸が詰まりました。
子どもが小さい頃は、毎年のように帰ってきていた家族。
孫が成長し、それぞれの生活ができると、いつの間にかお盆の風景も変わっていく。
帰ってきてくれることが当たり前だった頃から、今度は「帰ってこないこと」に慣れていかなければならない。
家族が歳を重ねるということは、そういうことなのかもしれません。
お盆の「独り言」に人生が詰まっている
訪問介護をしていると、利用者さんからいろいろな話を聞きます。
こちらから「どうですか?」と聞いても出てこないような話が、掃除機をかけながら、
料理をしながら、ふっと出てくることがあります。
「昔はね……」
その一言から、何十年も前の家族の話が始まることもあります。
一見すると、ただの愚痴のように聞こえる言葉もあります。
でも、その奥には、
「息子に帰ってきてほしい」
「孫に会いたい」
「昔のように家族で過ごしたい」
そんな思いが隠れているのかもしれません。
お盆は、亡くなったご先祖様を迎える時期でもありますが、家族が集まる時期でもあります。
だからこそ、普段は心の奥にしまっている家族への思いが、ぽろっと出てくるのかもしれません。
「いつまでも息子は、お母さんは元気でいると思っているんよね」
「帰ってくるのはいいけど、準備が大変なのにな」
「孫が小さいうちは帰ってきたけど、今は一切帰ってこんわ」
そんな言葉を聞きながら、私は思います。
何気ない「独り言」の中には、その人が歩いてきた人生と、家族へのたくさんの思いが詰まっているんだな、と。
訪問介護は、掃除や料理などの生活を支援する仕事です。
でも、利用者さんの何気ない言葉に耳を傾けることも、私たちにできる大切なことの一つなのかもしれません。
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