洗剤が10本?認知症の方が同じ物を何度も買う理由

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介護

訪問介護で利用者さんのお宅へ伺うと、驚くことがあります。

洗面所には洗剤が何本も並んでいたり、防虫スプレーが何本もあったり。

しょうゆやポン酢などの調味料も、未開封のものがいくつも置かれていることがあります。

以前の私は、

「こんなにたくさん、使い切れるのかな?」

と思っていました。

同じものが増えていくのには、認知症による記憶の問題が関係していることもあります。

でも、利用者さんとお話をしている中で、私はもう一つの理由に気づきました。

それは、**「物を買うこと」だけではなく、「使い終わった物を処分することも難しくなっている」**ということです。

「えっ、また同じもの?」

以前、利用者さんのお宅で、洗剤やシャンプーなど同じ商品がいくつもあるのを見かけました。

認知症の方の場合、

「家にあることを忘れてしまった」

「買ったことを覚えていない」

ということがあります。

そのため、買い物に行くと、

「なくなったから買っておこう」

と思って、同じものを購入してしまうことがあります。

本人にとっては、本当に「必要だから買った」という感覚です。

決して、無駄遣いをしようとしているわけではありません。

同じものを買うのには、ほかにも理由があった

今回、利用者さんからこんな話を聞きました。

「洗剤やシャンプーって、蓋が開きにくいんよ」

そして、

「使い終わったら、ラベルを剥がしたりせんといかんけど、それも難しいんよ」

と。

私は、この言葉を聞いてハッとしました。

私たちにとっては簡単にできることでも、年齢を重ねると難しくなることがあります。

洗剤の蓋を開ける。

シャンプーのポンプを押す。

容器を最後まで使い切る。

ラベルを剥がす。

容器を分別してゴミに出す。

一つひとつは小さな作業ですが、指先の力が弱くなったり、手が思うように動かなくなったりすると、それだけでも負担になります。

「捨てればいい」と簡単に言えることではないのです。

「買ったことを忘れる」だけではない

以前は、同じものがたくさんあると、

「また買ってしまったのかな」

と思っていました。

もちろん、認知症によって買ったことを忘れてしまうことはあります。

でも、今回の話を聞いて、

「なぜ物が増えているのか」を、もっとその人の生活から考えてみる必要がある

と感じました。

買ったものを忘れてしまう。

家に何があるのか分からない。

そして、使い終わった後の処分も難しい。

そう考えると、物が増えていく背景には、いくつもの理由が重なっているのかもしれません。

家族はつい怒ってしまう

家族からすると、

「また買ったの?」

「家にあるでしょ!」

と言いたくなるのも当然だと思います。

同じ洗剤が何本もあれば、家族も困ってしまいます。

でも、本人からすると「また買った」と言われても、そのこと自体を覚えていないことがあります。

そして、買い物だけでなく、物を捨てることにも困っているのかもしれません。

本人の「できない」を責めるのではなく、

「何が難しくなっているんだろう?」

と考えてみる。

それだけでも、少し見方が変わるのではないでしょうか。

私たちヘルパーが気を付けていること

訪問した際には、まず収納場所を確認します。

扉のついた収納家具や、外から中身が見えない箱の中に入っていると、家にあることに気づきにくくなります。

買ったものも、置いた場所も忘れてしまうことがあるからです。

そのため、できるだけ中身が見える透明なケースを使ったり、収納場所にラベルを貼ったりして、「何がどこにあるのか」が分かりやすいようにします。

未開封のものを一か所にまとめておくのも一つの方法です。

ただし、蓋つきの収納ケースは、上に物を置いてしまうと……

「もう開けられませんよね(^-^;)」

ということもあります。

収納は「片付けること」だけを考えるのではなく、本人が取り出しやすく、何が入っているのか分かることも大切です。

そして、使い終わった物についても、

「捨てるのが難しいのかな?」

「蓋を開けるのが大変なのかな?」

と、本人に聞いてみることも大切だと思います。

ご家族にも現状をお伝えし、買い物の内容を一緒に確認していただくことがあります。

ただ、買い物は生活の一部であり、楽しみでもあります。

「もう買い物は禁止」としてしまうのではなく、どうすれば安心して買い物を続けられるのかを考えることも大切です。

物が増えたときは「困っていること」を探してみる

同じ商品が増え始めたとき、

「また買ってしまった」

だけで終わらせず、

「何に困っているんだろう?」

と考えてみる。

たとえば、

  • 家に何があるのか分からない
  • 買ったことを覚えていない
  • 収納場所が分からない
  • 蓋やキャップが開けにくい
  • 容器を最後まで使い切るのが難しい
  • ラベルを剥がすのが難しい
  • ゴミの分別が難しい

など、さまざまな「できにくさ」が隠れているかもしれません。

物が増えていることは、もしかすると暮らしの中で何かに困っているサインなのかもしれません。

もしかすると認知症のサインかもしれません

同じ商品を何度も購入することが続いている場合は、

  • お金の管理
  • 買い物の様子
  • 冷蔵庫の中
  • 賞味期限切れの食品
  • 同じ日用品の在庫

なども、できる範囲で確認してみるとよいでしょう。

ただし、同じものが複数あるというだけで認知症と決めつけることはできません。

以前からまとめ買いする習慣がある方もいますし、安売りや買い置きが好きな方もいます。

大切なのは、「同じ物がある=認知症」と決めつけることではなく、以前と比べて生活の中に変化がないかを見ることなのだと思います。

気になる変化があれば、本人の気持ちを尊重しながら、家族や医療・介護の専門職に相談してみることも一つの方法です。

まとめ|物が増えるのには、その人なりの理由がある

利用者さんのお宅で増えていく洗剤やシャンプー、調味料。

以前の私は、「また同じ物を買ったのかな」と思っていました。

でも今回、

「蓋が開きにくい」

「ラベルを剥がすのも難しい」

という利用者さんの言葉を聞いて、物が増えていく背景には、もっといろいろな理由があるのだと気づきました。

買うことだけを見るのではなく、その後の「使う」「片付ける」「捨てる」まで考えてみる。

私たちにとっては簡単なことでも、高齢になると難しくなることがあります。

「また買ったの?」

と責める前に、

「何か困っていることはないかな?」

と考えてみる。

そんな小さな気づきが、その人の暮らしを支えることにつながるのかもしれません。

実際に、家に何があるのかを分かりやすくするために、冷蔵庫に貼るホワイトボードや収納ラベルなども役立つことがあります。

認知症になっても、できることはたくさんあります。

だからこそ、できなくなったことを責めるのではなく、「どうすれば今までの生活を続けやすくなるか」を一緒に考えていきたいと思います。


家に何があるかが一目で分かるだけでも、ご本人も家族も安心できます。

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