認知症の利用者さんY氏 怒りの剣

介護

認知症の症状として怒りっぽくなるというのがあります。

今まで温厚な人が急に怒りっぽくなったりすると、家族の方は戸惑うことでしょう。でも否定したり、理由を聞くのはかえって怒りを助長します。

利用者Y氏 怒りは収まるか?

元会計士のY氏。いつもは冷静でにこやかな人です。ディで入浴後、椅子に座って休憩しているときに、急に刀を抜こうとする動作をしました。顔は眉間にしわを寄せて、今にも戦いが始まりそうな感じです。

そんな時は、ゆっくりと話しかけ、怒っている理由は聞かず、Y氏の話をオウム返しのように聞きます。少し落ち着いてきたら、話を変えてみたりもします。
Y氏はノートと計算機を渡すと何やらいつも仕事を始めます。落ち着くんでしょうね。

オウム返しはコミュニケーション技法のひとつ

このオウム返しは「相槌」と同じ意味を持ちます。

相手の話したことを繰り返すので、「傾聴」と「共感」の効果もあります。

  • 傾聴・・・相手の話をしっかりと聞くこと
  • 共感・・・相手の話していることに同調すること

私は話していることがよくわからない認知症の方にもオウム返しを使います。

「わたし、○○○○なんよ。」といわれたら、「○○○○なん?」と聞くと聞いてくれてると安心するんだと思います。にっこりして「そうなんよ。」と言います。

怒っている理由は聞かない

利用者さんが起こっているときには、何故か理由を聞きたくなります。もちろん、ちゃんと理由が言える場合は、傾聴する必要があります。

でも、怒っている場合、理由を聞いてしまうと、本人も理由がうまく説明できなかったり、そもそも何故怒ってたのかわからなくなってしまって、余計に腹を立ててしまうことが多いです。

認知症の方が怒りっぽくなるのは、前頭葉の委縮により、感情の制御が難しくなるそうです。
失敗が多くなることでの自信喪失やプライドが傷ついたりして、不安の表れが「怒り」になっているのでしょう。

Y氏の場合も刀を抜いてしまうと大変なことになってしまいます。本人にとっても、介護者にとっても。

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